はじめての質的研究法 【臨床・社会編】
秋田喜代美・能智正博 監修/能智正博・川野健治 編
シリーズの監修にあたって 秋田喜代美・能智正博
はじめに 能智正博・川野健治
第T部 総論
第1章 質的研究と臨床・社会心理学 能智正博
「質的研究」とはどういうものか/社会心理学の流れと社会のイメージの変化/
臨床心理学の展開と「問題」のイメージ/質的研究の再定義/社会・臨床と質的研究
●書籍紹介 『スティグマの社会学――烙印を押されたアイデンティティ』 蘆野晃子
第2章 臨床・社会心理学における質的研究の留意点 川野健治
心理学における質的研究の特徴とは/臨床・社会心理学における質的研究のフィールドを決める/
質的研究を見通す――データ収集と分析/おわりに
第U部 ミクロ過程に焦点をあてた研究
第3章 障害児――ある障害児の世界を「空間」という視点から解明する 遠藤 司
ある関わりの場面の記述から/「直観」に基づく研究方法/「直観」が発揮される場面とは/
行動記述から場面記述へ/世界の解明に向けて/おわりに
●書籍紹介 『ボディ・サイレント』 宮崎朋子
第4章 「非行少年」の質的研究――なぜ彼(女)らが「問題」なのかと問うてみる 松嶋秀明
はじめに/非行少年にいかにアプローチするか/研究方法について/データ分析・発表形式について/
結果の記述について/おわりに
第5章 供述の分析――構造的ディスコミュニケーション分析を例に 山本登志哉
供述調書という「証拠」/供述の分析という作業の性格/供述と「事実」と分析者の立ち位置/
『証言の心理学』の4つのアプローチ/甲山事件のシミュレーション実験/
構造的ディスコミュニケーション分析/供述の分析と質的な研究/おわりに
●書籍紹介 『傷ついた物語の語り手――身体・病い・倫理』 徳田治子
第6章 病い/高齢者の研究――「認知症」体験の〈汲み取り〉から〈聴き取り〉へ 出口泰靖
はじめに/私と「認知症」の人とのやりとり自体をフィールドワークする/「認知症」体験を明らかにしてみたい/
「呆けゆく体験」の〈汲み取り〉をやってみる/本人による「認知症」体験の〈聴き取り〉の難しさ/
「もの忘れ」体験に耳を傾けるケアとの出会い/「認知症」体験の〈汲み取り〉から〈聴き取り〉へ/おわりに
第V部 マクロ過程に焦点をあてた研究
第7章 環境研究――「精神病院のリロケーション研究」をめぐる検討 高橋 直
質的な研究環境とは/事例「精神病院のリロケーション――行動場面の自然観察」/おわりに
●書籍紹介 『暴走族のエスノグラフィー――モードの叛乱と文化の呪縛』 文野 洋
第8章 地域研究――都市で編まれた同郷の繋がりをたどる 石井宏典
地域と歴史への位置づけ/移動と定着の歴史をたどる――起点となった作業/
経験世界に近づく――歴史(ヒストリー)から物語(ストーリー)へ/おわりに
第9章 防災研究――災害に強い社会をつくるための共同実践 矢守克也
はじめに――2つの研究プロジェクト/4つのポイント/「語り部研究」/「ゲーミング研究」/おわりに
●書籍紹介 『喪の途上にて――大事故遺族の悲哀の研究』 目良秋子
第10章 異文化研究――動きながら関わりながら生活世界を識る 伊藤哲司
「ベトナム」にたどり着くまで/異境の地で定住者になる――ハノイの路地への参加/異文化の生活世界を書く/
描く/さらに、異なる生活世界の旅へ/おわりに
「あとがき」にかえて 能智正博・川野健治
索引
執筆者プロフィール