はじめての質的研究法 【生涯発達編】
秋田喜代美・能智正博 監修/遠藤利彦・坂上裕子 編
はじめに
第1章 イントロダクション:「質的研究という思考法」に親しもう 遠藤利彦
本書のねらい:編者としての私的な願い/発達心理学における「量的研究」/「質的研究」に関心が集まる理由/
質的研究の対話的性質/質的研究における研究者の立ち位置:客観性と主観性をめぐって/
研究プロセスを反省的に眺めること:自己省察性の重要性/質的研究の質を高めるもの:手続き上の留意点/
生成された仮説や理論の適用範囲と発展可能性/本書の構成
第T部 生涯発達心理学における質的研究の方法を知る
第2章 発達研究におけるエスノグラフィ:社会的営みとしての発達を理解する方法 柴山真琴
発達研究法としてのエスノグラフィ/発達過程を見る:方法としてのエスノグラフィ/
発達過程の理解をかたちにする:産物としてのエスノグラフィ
第3章 発達研究におけるインタビューと語り分析:語りの構造から探る老いの意味づけ 野村晴夫
はじめに/語りの構造の研究例/面接調査の準備と実施/語りの分析/面接と分析の後に
第4章 発達研究におけるケース・スタディ:歴史・理論・実践 伊藤 匡
ケース・スタディの歴史/ケース・スタディの現在/ケース・スタディとは何か?/ケース・スタディの手順/
ケース・スタディの実例(N=1ケースとLarge‐Nケース)/ケース・スタディに関する諸問題
第U部 生涯発達心理学における質的研究の実際を知る
第5章 乳幼児期と質的研究:母子の葛藤的やりとりの観察 坂上裕子
乳幼児期の発達と質的研究/乳幼児期の発達に対する質的アプローチ、量的アプローチの実際/
これから乳幼児期の発達の質的研究をする人へ
●コラム 研究者倫理について――乳幼児の発達研究の場合――
第6章 幼児期と質的研究:自己主張行動の発達 鈴木亜由美
はじめに/質的研究に至るまで/幼稚園における縦断的観察/エピソードの分析/まとめ
●コラム 幼児期における質的研究のワンポイントアドバイス
第7章 保育と質的研究:参加観察に基づく事例研究の進め方 石野秀明・山口勝也
平面T:いかに観察するか/平面U:いかに記述するか/平面V:いかに理論化するか/まとめ
●フィールドエントリーについて
第8章 子どもの遊びと質的研究:子どもの遊びをみる「観察眼」を磨く 苅田知則
研究課題「子どもはなぜ隠れる遊びが好きか」/フィールドの確保/参与観察法(フィールドワーク)/
非参与観察法(第三者的観察法)
●コラム 「観察に行く」=「野良仕事に行く」
第9章 可視的変形と質的研究:希少な疾患の心理学的研究に向けて 松本 学
可視的変形とは/可視的変形の研究をはじめる――リサーチクエスチョンを定める/おわりに
●コラム 論文検討のための小研究会
第10章 青年期と質的研究:語り合い法で「らしさ」をとらえる 大倉得史
語り合い法とは/語り合うとはどういうことか/語り合い法におけるメタ観察/語り合い法(メタ観察)の実際
●コラム アプローチを選ぶにあたって
第11章 子育て期と質的研究:母親の経験をいかにとらえるか? 徳田治子
母親の経験をどのようにとらえるか?/“人生”と“意味づけ”に注目した母親研究の展開/
母親になることによる獲得と喪失/11名の母親へのライフストーリーインタビュー/おわりに
●コラム 子育て期の母親が生きる“語りの文脈”
第12章 中年期と質的研究:転換期の意識に迫る 杉村和美・清水紀子
中年期の発達研究/中年期の質的研究の実際/結果の示し方/中年期の質的研究から得られるもの
第13章 老年期と質的研究:高齢者は人生をどのように語るのか 山口智子
はじめに/問いとの出会い/2つのライフストーリー研究の紹介/高齢者における「人生の語り」に関する仮説の生成/
質的研究のおける工夫と留意点:研究を俯瞰する作業から/結果の発表:記述と仮説・モデルの生成へ/おわりに
●コラム 研究協力者との出会い:高齢者の主体性、人生を尊重する関わり
第14章 死生の意味づけと質的研究 川島大輔
はじめに/死生の意味づけを研究する前に――死を扱った先行研究の概要と展望/死生の意味づけに迫る方法/
終わりに
●コラム 死の現場へのフィールドワークと質的研究
索引
執筆者プロフィール