はじめての質的研究法 【教育・学習編】
秋田喜代美・能智正博 監修/秋田喜代美・藤江康彦 編
シリーズの監修にあたって 秋田喜代美・能智正博
はじめに
第T部 総論
――第T部のための序
第1章 教育・学習研究における質的研究 秋田喜代美
教育の場で研究をするために/教育研究としての質的研究の特徴/教育への問いからアプローチを決める
第2章 教育・学習研究における質的研究の留意点 藤江康彦
「書く」ことを念頭において:記述としての質的研究/調査を行う/分析の準備
第U部 具体的な研究アプローチ
――第U部のための序
(A 生徒個人の学習や形成過程への注目)
第3章 協調学習における理解深化プロセスをどうとらえるか 白水 始
はじめに/深い理解のとらえ方/学習科学と質的研究/
協調学習における理解深化プロセスのとらえ方/質的研究の要素技術
第4章 学習における方略の変化:マイクロジェネティックアプローチ 藤村宣之
マイクロジェネティックアプローチ/学習における方略の変化T:個別介入実験で方略の変化をとらえる/
学習における方略の変化U:授業場面で方略の変化をとらえる
第5章 質的・量的分析を組み合わせた仮説生成――総合学習、達成要因へのアプローチ―― 高橋亜希子
はじめに:さまざまなデータを用いて分析を立ち上げるには/分析の過程1:データが揃うまで/
分析の過程2:分析の位置づけの難しさ/分析の過程3:事例記述の際の葛藤/
量的分析と質的分析を組み合わせた仮説生成/おわりに:あきらめずにデータをみつめつづけることの大切さ
第6章 対人関係のなかでの自己形成:ミクロな対面的相互作用分析から見る自己呈示とジェンダー形成 藤田慶子
はじめに/対面的相互作用にみる自己形成/研究の概要/相互作用分析の限界と可能性
(B 集団での相互作用や活動過程への注目)
第7章 相互作用にみる発達的変容:特定の子どもに目を向けたエスノグラフィー 本山方子
特定の子どもに目を向けることで可能となる問い/研究事例/「声が小さい」ということの「問題」化/
その子らしさの発見/発表内容に媒介された直接的な相互作用の成立/「問題」の可視化と解消にみる「自立」/
特定の子どもに目を向けた研究の留意点
第8章 教室談話を介した学習の変容過程の記述分析 磯村陸子
はじめに/研究への背景/研究の概要/記述的分析によってみえてくるもの
第9章 指導実践における関係性の変容:教室以外の場での教育のエスノグラフィー 梅崎高行
はじめに/研究者であり実践者である筆者のスタンス/研究1 問題は動機づけか(梅崎,2004)/
研究2 個性はいかにして可視化されるか(梅崎,印刷中)/
本章のまとめと課題――質的心理学研究における位置――
(C 学習システムの構築・介入)
第10章 学習環境形成のデザイン実験 大島 純
はじめに/学習環境の形成/デザイン実験(研究)という質的研究方法/
具体的な実践研究:小学校の総合的な学習の時間/これからデザイン実験を考える方々へ
第11章 幼小連携カリキュラム開発へのアクション・リサーチ 藤江康彦
アクション・リサーチとは/幼小連携のカリキュラム開発におけるアクション・リサーチの取り組み/
アクション・リサーチの課題と意味
第12章 パフォーマンス評価による学びの可視化 松下佳代
学びを可視化するということ/パフォーマンス評価とは/パフォーマンス評価の具体例/
パフォーマンス評価はどう学びを可視化するか
(D 教師の語りへの注目)
第13章 多声的ビジュアルエスノグラフィーによる教師の思考と信念研究 野口隆子
多声的ビジュアルエスノグラフィーとは/教師の実践知の特徴とビデオという道具/
研究事例:保育者の持つ“良い保育者”イメージ/文化を探る試み/教師の思考と信念に関する質的研究
第14章 PAC分析を応用した保育記録の分析 原 孝成
保育記録の位置づけ/PAC分析とは/保育記録の分析/保育記録の解釈/PAC分析を利用する意義と留意点
第15章 教師の語り――ナラティヴとライフヒストリー 藤原 顕
教師のナラティヴを手がかりとした質的研究の対象/ナラティヴ・データの収集――研究対象へ迫るための方法(1)/
ナラティヴ・データの解釈――研究対象へ迫るための方法(2)/
データ解釈にもとづく著述――得られた知見のまとめ方/結び
巻末付録
――コラム(書籍紹介)
――編者お薦めの図書
索引
監修者/編者/執筆者紹介